優しい風
「カタカタ」とリズムのような音が部屋に響き渡っている。
その音はまるで休むことを知らないように奏でられていた。
「キラ」
自分の名前を呼ばれ、キーボードを打つのをやめ振り返る。
「母さん」
「ちょっと休憩したら?」
と、カリダの両手にはティーセットがあった。
「あっ、うん…」
キラはとりあえず休むことにしたが、少し気になることがあった。
「…ラクスは?」
ちょっと納得のいかないそんな顔の息子をみて、カリダは少しからかいたくなった。
「あら、私じゃ不満だったかしら?」
「ちっ、違うよ!!そうじゃなくて…」
予想通り少し顔を赤らめた。
「ラクスさんなら子供たちと浜に行ったわよ」
カリダは少しイタズラっぽい笑みで事情を説明した。
「あっ、そうなんだ」
「本当はいつも通りにあなたにお茶を持っていこうとしたら、急に子供たちが連れていっちゃって、代わりに頼まれたのよ。だから、味はいつものラクスさんの紅茶よ?」
「母さん!!」
母に自分の気持ちがバレバレなのとからかっていることを知ってキラは更に顔を赤らめた。
「フフフ」
そんな素直な反応にカリダは笑った。
「ったく、もう…」
キラはそういうと、テーブルを少し片づけようとした。
「本当にいい人ね、ラクスさんて…」
「えっ?」
突然の母の言葉の意味がよくわからなかったが
キラは「うん…」と答えた。ラクスはとてもいい人だと自分は思うから。
カリダもキラがどんな意味をうけとり答えたかはわからなかったが、キラのすごく優しい笑みを見てカリダも優しい笑みをこぼし、またイタズラっぽい笑みに戻り「あら、のろけ?」といった。
不意打ちをくらったキラはまた顔を真っ赤にした。
「もう、いいからっ!!」
とカリダの背を押しドアの方へ向かわせた。
するとカリダは振り返り
「あらあら、たまには親子の会話しましょうよ」
といってきた。
キラは少しからかわれたのがひっかかっていたけど納得し、
「…じゃあ、ここにでも座って」
とカリダの席を用意してくれた。
「ありがとう」
静かで穏やかな風が部屋をやさしく通り抜ける。
キラとカリダはしばらく昔の話などいろいろ話していた。
だいたい話の一段落がつき、二人ともお茶をすすった。
カリダは、お茶を飲み終えると、話を始めた。
「一年前、あなたが会いに来てくれてうれしかったわ」
「えっ?」
ちょうど最後の一口を飲もうとしていたキラは、カリダを見た。
「戦時中、あなたをガラス越しでしか見ることができなかったもの」
「……。」
一年前の光景を思い出す。会見を許されてもキラは会いに行けなかった。今あってしまったら、自分は酷いことを言ってしまうのではと考え、会いに行けなかった。
出船時、上部デッキに呼ばれて行ったらカガリが遠くの展望ブリッヂに両親がいることをおしえてくれた。
ガラス越しの再会だった。
「あのときのあなたの目は悲しみと不安で満ちていた…でも私たちはどうすることもできなかった…あのときほど泣いたことはないわ」
「母さん…」
はじめてカリダが秘めていた思いを聞いたキラは、自分がしたことの重大さに気づいた。
そんなキラの様子を察したカリダは話を続けた。
「でも、戦いが終わって会いに来たときのあなたの目は悲しみに満ちていても、どこか光が戻っていた…。そして、隣にずっとあの子がいた」
「……。」
キラはそのまま聞くことにした。
「そのとき、母さん思ったの…あぁ、この子があなたを支えてくれたのね…って」
さっきのカリダの言葉の意味が分かり、キラはカリダを見た。
カリダはやさしく笑っていた。
「フフフ、女の感ってやつかしら?…見た目もだけど感じがすごくやさしくて、癒しの天使といった印象を受けたわ」
キラはラクスと始めてあった時を思い出す。あの笑顔を…。
「…ラクスにはじめてあったとき、僕もそう思った。ううん、じっさい彼女は僕を癒してくれた。僕が僕でいていいんだと。僕は生きていていいんだと…」
『あなたが優しいのはあなただからでしょう?』
『帰ってきてくださいね。・・・私の元へ!!』
ラクスの言葉一つ一つが不安だらけだった心を楽にしてくれた。
「…彼女はキラに証をくれたのね」
優しい風が吹く。
「うん。そして今も与え続けてくれている」
暖かい光がてらす。
「あなたの隣で?」
穏やかなときが流れる。
「…うん」
二人は笑い会った。
「コンコン」とドアをノックする音が聞こえ、キラはドアの方を見た。
「あっ、どうぞ」
「キラ、失礼します」
部屋に入ってきたのは、今はなしていたラクスその人だった。
「ラクス」
「あら、ラクスさん」
二人は少しおどろいた。
そんな二人の様子をわかっているのか、わかっていないのかラクスはのほほんとした感じだった。
「あっ、カリダさん。はこんでいただいてありがとうございました」
「あっ、いいのよ。子供たちは?」
「今戻ってきて、汚れたのでお風呂に入っていますわ。そろそろ夕食の時間ですし…」
「まぁ、もう、そんな時間?」
窓を見るとだいぶ日が傾き、空はうっすらとオレンジがかっていた。
キラは時計を見るとだいぶ長い時間はなしていたことに気づいた。
「じゃあ、行きましょうかラクスさん」
「はい」
仲良くでていく二人。と、ラクスが振り返り
「あっ、キラ。できましたらお呼びいたしますね」
キラは少し考え、首を横に振った。
「ううん、一緒に行く。たまには手伝うよ」
そういうとパソコンのスイッチを消した。
突然手伝うと言われて二人は目を見合わせた。
「珍しいわね」 「ですね」
そんな二人の反応になんと答えればいいか少し迷った。
「…なんだよ、二人して」
そんな反応を返してきたのでカリダとラクスはまた目を見合わせて笑いあった。
キラも二人につられて笑った。部屋に明るい笑いがひろがった。
台所に行く途中カリダはラクスに話しかけた。
「ラクスさん」
「はい?」
「…ありがとう」
「…はい?」
(あなたのおかげで、今、笑うことができるから…)
FIN
「カタカタ」とリズムのような音が部屋に響き渡っている。
その音はまるで休むことを知らないように奏でられていた。
「キラ」
自分の名前を呼ばれ、キーボードを打つのをやめ振り返る。
「母さん」
「ちょっと休憩したら?」
と、カリダの両手にはティーセットがあった。
「あっ、うん…」
キラはとりあえず休むことにしたが、少し気になることがあった。
「…ラクスは?」
ちょっと納得のいかないそんな顔の息子をみて、カリダは少しからかいたくなった。
「あら、私じゃ不満だったかしら?」
「ちっ、違うよ!!そうじゃなくて…」
予想通り少し顔を赤らめた。
「ラクスさんなら子供たちと浜に行ったわよ」
カリダは少しイタズラっぽい笑みで事情を説明した。
「あっ、そうなんだ」
「本当はいつも通りにあなたにお茶を持っていこうとしたら、急に子供たちが連れていっちゃって、代わりに頼まれたのよ。だから、味はいつものラクスさんの紅茶よ?」
「母さん!!」
母に自分の気持ちがバレバレなのとからかっていることを知ってキラは更に顔を赤らめた。
「フフフ」
そんな素直な反応にカリダは笑った。
「ったく、もう…」
キラはそういうと、テーブルを少し片づけようとした。
「本当にいい人ね、ラクスさんて…」
「えっ?」
突然の母の言葉の意味がよくわからなかったが
キラは「うん…」と答えた。ラクスはとてもいい人だと自分は思うから。
カリダもキラがどんな意味をうけとり答えたかはわからなかったが、キラのすごく優しい笑みを見てカリダも優しい笑みをこぼし、またイタズラっぽい笑みに戻り「あら、のろけ?」といった。
不意打ちをくらったキラはまた顔を真っ赤にした。
「もう、いいからっ!!」
とカリダの背を押しドアの方へ向かわせた。
するとカリダは振り返り
「あらあら、たまには親子の会話しましょうよ」
といってきた。
キラは少しからかわれたのがひっかかっていたけど納得し、
「…じゃあ、ここにでも座って」
とカリダの席を用意してくれた。
「ありがとう」
静かで穏やかな風が部屋をやさしく通り抜ける。
キラとカリダはしばらく昔の話などいろいろ話していた。
だいたい話の一段落がつき、二人ともお茶をすすった。
カリダは、お茶を飲み終えると、話を始めた。
「一年前、あなたが会いに来てくれてうれしかったわ」
「えっ?」
ちょうど最後の一口を飲もうとしていたキラは、カリダを見た。
「戦時中、あなたをガラス越しでしか見ることができなかったもの」
「……。」
一年前の光景を思い出す。会見を許されてもキラは会いに行けなかった。今あってしまったら、自分は酷いことを言ってしまうのではと考え、会いに行けなかった。
出船時、上部デッキに呼ばれて行ったらカガリが遠くの展望ブリッヂに両親がいることをおしえてくれた。
ガラス越しの再会だった。
「あのときのあなたの目は悲しみと不安で満ちていた…でも私たちはどうすることもできなかった…あのときほど泣いたことはないわ」
「母さん…」
はじめてカリダが秘めていた思いを聞いたキラは、自分がしたことの重大さに気づいた。
そんなキラの様子を察したカリダは話を続けた。
「でも、戦いが終わって会いに来たときのあなたの目は悲しみに満ちていても、どこか光が戻っていた…。そして、隣にずっとあの子がいた」
「……。」
キラはそのまま聞くことにした。
「そのとき、母さん思ったの…あぁ、この子があなたを支えてくれたのね…って」
さっきのカリダの言葉の意味が分かり、キラはカリダを見た。
カリダはやさしく笑っていた。
「フフフ、女の感ってやつかしら?…見た目もだけど感じがすごくやさしくて、癒しの天使といった印象を受けたわ」
キラはラクスと始めてあった時を思い出す。あの笑顔を…。
「…ラクスにはじめてあったとき、僕もそう思った。ううん、じっさい彼女は僕を癒してくれた。僕が僕でいていいんだと。僕は生きていていいんだと…」
『あなたが優しいのはあなただからでしょう?』
『帰ってきてくださいね。・・・私の元へ!!』
ラクスの言葉一つ一つが不安だらけだった心を楽にしてくれた。
「…彼女はキラに証をくれたのね」
優しい風が吹く。
「うん。そして今も与え続けてくれている」
暖かい光がてらす。
「あなたの隣で?」
穏やかなときが流れる。
「…うん」
二人は笑い会った。
「コンコン」とドアをノックする音が聞こえ、キラはドアの方を見た。
「あっ、どうぞ」
「キラ、失礼します」
部屋に入ってきたのは、今はなしていたラクスその人だった。
「ラクス」
「あら、ラクスさん」
二人は少しおどろいた。
そんな二人の様子をわかっているのか、わかっていないのかラクスはのほほんとした感じだった。
「あっ、カリダさん。はこんでいただいてありがとうございました」
「あっ、いいのよ。子供たちは?」
「今戻ってきて、汚れたのでお風呂に入っていますわ。そろそろ夕食の時間ですし…」
「まぁ、もう、そんな時間?」
窓を見るとだいぶ日が傾き、空はうっすらとオレンジがかっていた。
キラは時計を見るとだいぶ長い時間はなしていたことに気づいた。
「じゃあ、行きましょうかラクスさん」
「はい」
仲良くでていく二人。と、ラクスが振り返り
「あっ、キラ。できましたらお呼びいたしますね」
キラは少し考え、首を横に振った。
「ううん、一緒に行く。たまには手伝うよ」
そういうとパソコンのスイッチを消した。
突然手伝うと言われて二人は目を見合わせた。
「珍しいわね」 「ですね」
そんな二人の反応になんと答えればいいか少し迷った。
「…なんだよ、二人して」
そんな反応を返してきたのでカリダとラクスはまた目を見合わせて笑いあった。
キラも二人につられて笑った。部屋に明るい笑いがひろがった。
台所に行く途中カリダはラクスに話しかけた。
「ラクスさん」
「はい?」
「…ありがとう」
「…はい?」
(あなたのおかげで、今、笑うことができるから…)
FIN
2005/08/26
